NEC(緑)ゴール前でリコー(黒)ボールのスクラム。レフリーの「セット」のコールの後、スクラムが組まれるも、すぐに崩れてしまいます(赤丸)。ボールは投入されずに黒SHが手にしたままですが(黄丸)、ここでレフリーは左腕を左側に動かしながら「ユーズイット! ユーズイット!」とコールします(桃丸)。
それを聞いた黒SH、緑SH、さらには緑の6、緑7がボールが投入されていないことをレフリーに訴えます(水色)。ようやく、ボールが投入されていないことに気づいたレフリーは笛を吹き、スクラムアゲインとしますが、その間フロントローは崩れたスクラムの中で頭を地面につけたままとなりました。
レフリーが「ユーズイット!」とコールしたのは、単純にボールを見ていなかったからだと思われますが、そもそもスクラム時の「ユーズイット」はどういう時にコールするのでしょうか。
その点は以下のように記されています。
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スクラムが停止し、ボールがスクラムの後方に3~5秒間あり使える状態になった場合、レフリーは「ユーズイット」とコールする。チームは、ただちにボールをスクラムから出してプレーしなければならない。罰:スクラム
When the scrum is stationary and the ball has been available at the back of the scrum for three-five seconds, the referee calls “use it”. The team must then play the ball out of the scrum immediately. Sanction: Scrum.
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ここにあるように、本来【ボールがスクラムの後方に3~5秒間あり使える状態(ball has been available at the back of the scrum for three-five seconds)】の際にコールするものです。つまり、ボールがスクラムの後方でいつでも「使える(available)=出せる」状態なのに出さない場合にコールするもので、仮に出さなければ相手ボールのスクラムとするのがその目的です。
しかしながら、この場面でレフリーはボールを見失っただけでなく、その後のボールの位置を確認しないまま、しかもスクラムの状態を認識しないまま「ユーズイット」とコールしているということになります。