リコー(黒)ボールのスクラムで、ボールの投入後に赤2番が立ち上がり、相手の2番が完全に宙に浮き危険な状態に(黄丸)。
それを見たレフリーは笛を吹きますが、その後右手を上げ、さらに両手を何度が上に上げるシグナルを出します(緑丸)。つまりレフリーはスクラムが持ち上がったから反則であると示しているのですが、結果は“持ち上げられた”リコー(黒)の反則。
映像を見ると、赤2は明らかに自ら立ち上がり相手を持ち上げています(写真下:黄矢印。後のロックの押し(紫線)と比較すれば、赤2が「故意に相手を故意に持ち上げている」点は明白)。
現在、『第19条 スクラム』に関して以下のように記されています。
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スクラムにおける危険なプレー、および、制限
37. スクラムにおける危険なプレーには、以下を含む:
c. 相手を故意に持ち上げて宙に浮かせる、または、スクラムから押し上げて出す。
c. Dangerous play in a scrum includes :
Intentionally lifting an opponent off their feet or forcing them upwards out of the scrum.
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また、『第9条 不正なプレー』の中でも以下のように強調されています。
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19. スクラムにおける危険なプレー
c. フロントロープレーヤーは、故意に相手を宙に浮かせたり、スクラムから押し上げて出したりしてはならない。
c. A front-row player must not intentionally lift an opponent off their feet or force the opponent upwards out of the scrum.
さらには以下のような条文もあります。
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以下の場合、アドバンテージが適用されてはならず、レフリーはただちに笛を吹かなければならない:
スクラムの中にいるプレーヤーが宙に浮いて、または、上に押し出されて、地面に足がついていない状態の場合。
A player in a scrum is lifted or forced upwards so that the player is no longer in contact with the ground.
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つまり、プレーヤーを宙に浮かせる行為は、厳しく罰せされるものであり、地面に足がついていない状態となればただちに笛を吹いて止めなければならないのです。
しかしながら、この場面では相手を宙に浮かせた側ではなく、“押し上げられた”側の反則となっています。
■レフリーはどのように認識しているのか?
実は、上記のスクラムの直前のスクラム(17:05)でも同じ反則が起きています。その際は、リコー(黒)がドコモ(赤)を押し上げ、“押し上げられた”ドコモ(赤)の反則となっています。
このとき、転倒した後に立ち上がった赤2は、レフリーに反則の理由を聞いています(音声は聞こえず)
その後の音声は以下――、
レフ:「スタンダップ」
赤2:「ペナルティ?」(語尾を上げる)
・それに対しレフリーは大きくうなずく
つまりレフリーは、スクラムで立ち上がった際、“押し上げられた”側が反則となると回答しているようで、少なくとも実際に反則となった赤2は、そのように理解したのでしょう。
そのため、次のスクラム(24:40)では、赤2は相手を押し上げ(写真下)、実際にレフリーはその際は“押し上げられた”黒側の反則としています。
しかしながら、現在のルールにあるように【相手を故意に持ち上げて宙に浮かせる、または、スクラムから押し上げて出す】行為は危険なプレーであり、決して行なってはならない厳罰に値する行為なのです。