筑波(青)ゴール前での慶應(黄)が連続アタック。その際、黄8がラック内のボールを拾い右側へのサイドアタックを試みるも、思いなおしてボールを地面に置きなおして前方の味方プレーヤーにバインドします。直後、レフリーは笛を吹きノックオンとして青ボールのスクラムとします。
さて、プレーヤーが意図的に地面に“置く”ことはノックオンなのでしょうか?
ノックオンとは【プレーヤーがボールを落としボールが前方へ進む(player loses possession of the ball and it goes forward)】ことであり、自ら“置く”ことは本来ノックオンには当たりません。
一方、ボールキャリアがタックルされた場合【どの方向にボールを置いてもよい(may place the ball in any direction)】とされており、“置く(place)”ことは正当なプレーとして認められています。
(ボールを“置く”ことがノックオンであるならば、ボールキャリアが意図的にラックを形成するために地面にボールを置いても〈いわゆるダウンボール〉ノックオンとなってしまいますし、トライをしようとした際に、ボールがインゴールに達していなかった場合もノックオンとなります)
では、この場面での黄8のプレーは許されているのか?
実は、ラックが形成された後【ボールをラックの中へ戻す】行為は、相手を惑わす行為としてFKとされています(リターンザボール)。
実際この場面を見ると、相手プレーヤー青13(黄丸)が出てよいのか悪いのか(ラックが終了したのかしていないのか)解らず戸惑っており、明らかに相手に不利益をもたらす反則行為と言えるでしょう。
ちなみに、この場面は黄8はボールを“落とした”ではなく明らかに“置いて”おり、映像を見たアナウンサーも「ボールを持ち出そうとして、もう一度置きなおしたんですが」と言っています。