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《「サイドエントリー」という反則の理由はなんなのか?》

2021トップリーグ ドコモ(赤)vNEC(青)

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ドコモ(赤)ボールキャリアー13(緑)が前進し、赤6(水色)がサポート。赤13がタックルされ、相手がジャッカルしようとする(桃)ところを赤6がオーバーします(水色矢印)。

すると、レフリーは長い笛を吹き、「サイドエントリー」とコールし赤6の反則(PK)とします。

さて、この赤6の行為は反則なのでしょうか? 

・①まず、赤6はタックル成立時点でタックル地点の後方から走ってきているので「タックルオフサイド」(黄線)にはまったく該当しません。

・②次に、青のジャッカラー(桃)に対し、初めて接触をしたのが赤6なので「ラックオフサイド」にもなりません(立っている両者の接触時点でラックが成立なので、当事者がラックのオフサイドプレーヤーにはなりえない)。

・③なお、当然のことながら赤6はボールキャリアーの後方にいたので「一般のプレーオフサイド」にも当たりません。

レフリーとしては、赤6が青の正面から接触していないので「サイドエントリー」の反則であると思っているのかもしれませんが、映像を見ればわかるようにタックル地点には相手のタックラー(赤丸)が横たわっており、正面から接触するにはこのプレーヤーを乗り越えて(踏みつけて?)前進するかなく、反則と言うのならば赤6の進路を妨害している青タックラーの「ノットロールアウェイ」と言えるのではないでしょうか。

但し、ここは相手のタックラーも相手の行為を阻害しているわけでもなく、ゲームの流れはとても自然であっため、反則の笛を吹かずにそのままプレーを継続させるが妥当だと思われます。

(反則でゲームの流れを止められた赤9は、レフリーに対して猛烈にアピールをする(紫丸))

●そもそも、「サイドエントリー」という反則は何の反則なのか? 前記の通り赤6を反則とする理由は、少なくとも現在のルールの中では見当たりません。

仮に、こういったプレー(タックル後に相手ジャッカラーをオーバーする)を「サイドエントリー(横から入っている)」として反則だとするなら、ゲームの中でタックル地点に“横から入っている”場面は多発していますが、そのほとんどは反則とされずに流されています(一般のプレー/ラック/タックル時のオフサイドは除く)。

レフリーが「サイドエントリー」という場合、それが“どこに”“どこから”「横から入っている」から反則なのか、またその反則が『競技規則』の何条の何項に当たるのかを確認する必要があります。

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[検証](同じ試合の類似場面)

「サイドエントリー」という反則があるならば、この場面は反則ではないのか? 

 

ドコモ(赤)ボールキャリアーが前進する際に、赤1(水色)がサポート。その後タックルが成立した際、赤1は相手の青9をオーバーする。

ここで赤1はーー

・①タックル成立時点で、その後発生するかもれない「タックルオフサイド」ライン(黄線)の前方にいる

(「タックルオフサイド」ラインが発生していたならば「タックルオフサイド」の反則の可能性あり)

・②タックル成立時点で、タックル地点の真横にいる

(「サイドエントリー」という反則があるならば、明らかに「サイドエントリー」である)

・ボールキャリア―の前方からプレーに参加してれば「一般のプレーオフサイド」の可能性がある

・相手青9に対する「ノーボールタックル」の可能性もある

 

しかしながら、この場面でレフリーの笛が鳴ることはなく、プレーは継続となる。