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《トライ後のゴールキックと、PKからのゴールキックの際のルールは明らかに異なっている》

2021トップリーグ ドコモ(黒)v日野(赤)

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ドコモ(黒)陣内でPKを得た日野(赤)がPGを狙おうとします(青丸)。が、キッカーの赤10がボールを蹴ろうと後方へ下がった直後、キックティーの上にあったボールが倒れます(黄丸)。それを見たレフリーは外国人である赤10に対し声をかけ、ドロップキックでの継続を促します。

すると、戸惑いなばらボールを手にした赤10に対し相手チームの数名が前進してプレッシャーをかけにきます(赤丸)。

その後の赤10のドロップキックはゴールをはずれ、無得点に終わります。

◆さて、この場面でのレフリーの言動及び相手チームの行為に問題はなかったのでしょうか? 

①まず、トライ後のゴールを狙う際であれば、相手側は【キッカーが近づき始めたら、ゴールを阻止するために、チャージしたりジャンプしたりしてよい(When the kicker …begins the approach to kick…, they may charge or jump to prevent a goal)】ことになっています。

一方、PK時には【相手側はキッカーがキックするため近づき始めてからキックが終わるまで、両手を下げ、静かにとどまっていなければならない(the opposing team must stand still with their hands by their sides from the time the kicker starts to approach to kick until the ball is kicked.)】と定められています。

つまり、今回のPGを狙う際は、相手プレーヤーの前進は許されていません。

そして本来であれば【キックが成功しなかった場合は、反則をしていないチームに元の印の前10メートルの地点でのペナルティが与えられる(If the kick is unsuccessful, the non-offending team is awarded a penalty 10 metres in front of the original mark.)】ことになります。

②次に、レフリーがドロップキックを促す行為についてはどうでしょうか?

 

【キックは、チームがキックの意思表示をしてから60秒以内(競技時間)に行われなければならない(The kick must be taken within 60 seconds (playing time))】とありますが、同時にその際【ボールが転がり、置き直した場合も同様である(even if the ball rolls over and has to be placed again.)】とあるように、60秒以内であれば「置きなおす」ことも許されており、ドロップキックで蹴る義務はありません。

(*トライ後のゴールを狙う際は、前記の通り実際にボールを蹴る前であっても相手がチャージに来るため、ドロップキックで蹴る場合は多い)。

 

では、キックの意思表示をしてから60秒は経過していたのでしょうか? つまり、レフリーは60秒の時間が迫っていたため、“親切心”からドロップキックを促したのでしょうが? 

【キックの意思表示は…キックティーや砂が運ばれてくる…ことで合図としてもよい(The intention to kick can be signalled by the arrival of the kicking tee or sand)】とされていますが、この時レフリーがいつの時点から60秒を計測していたかは不明です(キックティーが運ばれてきた時間も不明)。

しかしながら、反則の笛を吹いて右手を上げた時間(6:06)から、ボールが倒れた時間(7:06)までを考えれば、少なくともキックティーが運ばれてくるまでの時間的な余裕はあったと思われます。